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経営責任を確立し、施設づくりを行ってゆく
〜そめや共同作業所 斉藤なを子さん〜
 
聞き手*待遇は?

斉藤*障害を持っている人の工賃の平均は、1万円から4万円の間です。授産施設で働くという

ことは、雇用されている関係ではないので、働くための保障はありません。職員は、県職に準じて

います。

聞き手*作業所では、1万2万という給料は当たり前のことだとよく聞きます。ですが、一般的に

言ったら、1ヶ月1万2万の給料というのは、あたりまえではないですよね?

斉藤*障害を持っている人の総合的な権利をきちんと確立していこうという、その過程の中に、

今、いますよね。その過程の中では、さまざまな矛盾が起きます。

  賃金の問題も、そこの「場」の中での仕事の分配だけに問題を限定して解決をはかろうとする

と、すごい軋轢を受けると思うんですよ。障害を持っている人の働く問題を考えていくときには、障

害を持っている人の所得保障の問題というのも視野に入れ、今の「私たちの働く場をどうするか」

という捉え方をしていかないと危険だろうなぁと思います。

 もちろん、現実的に、障害をもっている人たちが被っている現状はきわめて貧困ですよね。そ

の問題に対するせつなさっていうのはありますね。

聞き手*なぜ、民間施設の厳しい状況の中、職員の給料は県職に準じているのですか?

斉藤*経営責任の問題だと思います。

 人を雇用するっていうのは、本当に重いものだから、そこが確立していないと障害を持っている

人の働く権利を保障していく取り組みにもなかなかつながっていかないんじゃないかと思いまし

た。

 経営責任というのは、私たちはやっぱり事業体なので、社会的な責任もあるし、人を雇うってい

う責任もあります。それは無認可の作業所を作った最初の時から常に論議をしてきました。一回

だけどうしても立ち行かなくなった時代があったんだけれども、これでずるずるっと考えを後退さ

せたら、ちゃんとした事業組織としては展開できないわけだから、そこの部分だけは相当論議し

ました。

聞き手*今のお話をうかがうと、職員には労働条件に対する経営責任が、障害を持っている人

は利用者、という立場の違いにひっかかりを感じるのですが。

斉藤*制度的な問題などがあるので、そういう風に感じるのは当然だと思います。働いていても

そういう矛盾は感じますから。でも、形式論だけではすまされないですよね、現実的な考え方って

いうのを取っていかないと長続きできないです。今のいろいろな状況を100%よしと思っているわ

けじゃないんだけれども、現状から積み上げていくしかないと考えています。

聞き手*染谷では、どのように障害を持っている人の経済的な水準の問題を捉えていますか。

斉藤*私の私見もだいぶ入りますが、給料の問題は、所得保障とセットだと思っています。障害

基礎年金で、経済的な基盤のベースを等しく作り、その年金と、こういうところで働いた賃金をあ

わせた額が、その地域の中での最低生活費水準になるよう追求していった方がいいのではと思

います。 また、ヨーロッパでは、保護雇用っていう考え方が浸透していて、ハンディ故に、生産性

が低くなってしまう分、公的に賃金補填をしていくスタイルなどがすすんでいます。

 日本でも、障害を持っている人への経済保障をしていく政策が必要なのではないかと思いま

す。

聞き手*染谷の現場レベルでは問題は出ていないのですか?

斉藤*もちろんあります。工賃支給の方法に対して去年不満が出ました。障害を持つ人たちの

賃金は一律のため、障害ゆえに作業能力の違いなどから、一緒に働いている仲間に対して不満

が向いてしまったんです。それは本当に悲しいことですよね。

 今年度は、賃金の抜本的見直しをしていくために、全員で話しあいを行っています。

聞き手*障害を持っている人と職員とで、どのように働いているのですか?

斉藤*「染谷では、お客様にいい仕事を提供する」ために、障害のないスタッフと障害のある人

がそれぞれの持ち分を活かして、力を合わせていく、という姿勢でいます。

 それぞれが現場のプロとして、職員も障害を持っている人も一緒に残業や休日出勤をするとき

もあれば、職員が受け持っている現場の仕事が残っているときには、職員だけ残業するときもあ

ります。それは、どんな工場やどんな仕事でも同じですよね。ただ一緒に働いている仲間にハン

ディがあるっていうことなので、そのハンディをどう考慮するかっていうことだけの違いだと思いま

す。

 ですが、授産施設の職員になる人の中には、障害を持っている人への関わり合いの部分に関

心がものすごく強くて、自分が現場作業の一員になることに心理的抵抗感というのを持っている

人も多いなと感じます。でもそこを越えないと障害を持っている人の中での仕事はできないって思

います。

聞き手*作業所づくりの先が、私なんかはよく見えないのですが、

作り続けるしかないのですか?

斉藤*それはエンドレスだよね。

聞き手*しょうがないんですか?

斉藤*それはしょうがないですよね。そういう腹をくくって社会福祉法人はやっていかないと無理

です。ここで終わりって事はないから。ここで終わりで後はもう知りませんっていうやり方も考え方

としてあるんでしょうけど。

 次から次へ困った人たちが出てくるでしょうし、ニーズも変化してくるわけだから、それにあった

事業計画、経営を考えていくしかないです。

聞き手*作業所をつくるしかないんでしょうか。

斉藤:絶対数が足りないからね。

 絶対数は確保しなくてはいけない。絶対数と適切な配置といういろいろなものが基盤として整わ

ない限り、やっぱり不本意な選択をしたりとか在宅になったりってことを、止めることはできないだ

ろうって思います。

聞き手*障害を持っている人の働く場というのは、かなり家族に支えられていますよね。

斉藤*鴻沼福祉会独自のことで言えば家族が本当に苦労している実状とか確かにあるんです

ね。そのことを改善するために、内部的な努力もしているし、市民の支援を集めていくとかってい

うことも。それでやっていくしかないんじゃないかな。

 ただ、そのためには私はやっぱり経営基盤というかね、経営組織、経営理念、経営主体の責

任。そこは確立していないと、それを維持して発展させていくってことはできないと思いますよ。